2012年5月17日木曜日

【意見陳述・第4章】元市長の行動は住民の意思実現に他ならず、違法性はない

平成23年(ワ)第40981号 損害賠償請求事件
原告 国立市
被告 上原公子

意見陳述要旨

                   2012年5月17日
                   被告訴訟代理人弁護士 杉浦ひとみ
東京地方裁判所民事第2部 御中
 

 法的評価として違法性の観点について述べます。

 まず、違法性か否かは、端的に、市長の裁量権の著しい逸脱や、自治体の持つ法規範に反する場合です。国立市の法規範は、憲法、地方自治法、都市計画法、建築基準法などを受け、具体的には「国立市開発行為等指導要綱」(乙A21以下「要綱」)、「国立市都市景観形成条例」(乙A13。以下「景観条例」)、「国立市都市計画 中三丁目地区計画」(乙A34。以下「地区計画」)、「国立市地区計画の区域における建築物の制限に関する条例の一部改正」(乙A51。以下「地区計画条例」)をさします。

 原告が「被告の違法行為」として4つの行為を指摘しますが、第2行為として指摘されるものが、「
20m以上のマンション建築の許否」という争点に中心的意味を持ちます。しかし、先に述べた法規範に当てはめたときには、この第2行為としてあげられるもの、すなわち、明和地所に対する事前協議の要請、周辺建築物や20mのイチョウ並木との調和のため本件建物を低くすることなどの指導、標識の撤去要請、建物の高さを20m以下に制限することを柱とする地区計画の告示・施行、マンションの建築確認申請の取り下げ要請など、いずれも違法とはいえません。 国立市には市民の意思に基づく「景観形成」という要綱や景観条例がありました。本件マンション建設に際しては、議会が地区計画条例までつくったのです。被告が取った行動は、住民の意思実現に他ならないのです。

 さらに、原告は要するに、政策変更の違法性を指摘していますが、最高裁が示した基準によっても、原告は何ら法的保護に値しないものであることも明らかです。 


                            以 上

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