TV局のヘリコプターがブンブンとび回ったので、おぼえている人、多いと思いますが。
2002年12月28日・朝日新聞夕刊 |
国立市の大学通りは「日本で一番美しい大通り」(山口 瞳さん)と評された、新 東京百景の一つに選出されている通りです。その大学通りに面した静かな住宅地に「巨大高層マンション建築計画」がもち上がったのは1999年。その年の6月頃に初めてこれを知った市民たちから地権者82%の同意書を添えて高さ制限 の要請が国立市に出されたのが1999年11月です。この要請を受けた国立市は「高さ制限に関して地区計画をつくる」旨を公表しましたが、業者側はこれを無視して翌12月に都に建築確認を申請し、確認がとれた翌2000年1月5日当日からどんどん工事を始めてしまいました。
市も対抗して、2000年1月24日、「高さを20メートルに制限する条例」を臨時議会で成立させました。なぜ、それまでは高さ20メートル制限の条例がなかったのかといえば、駅近くの商業地域をのぞく大学通りの住宅地では、「建物は街路樹の高さを超えない高さにして美しい大学通りの景観を守る」が住民たちの不文律として存在していたからです。
周辺住民約50名はマンション業者に高さ20メートルを超えないよう2000年3月に東京地裁に提訴しましたが、マンション業者は「建築確認申請時には高さ制限条例はなかったから合法だ」として、大学通り史上前代未聞の44メートル14階建て巨大マンションを完成さ せてしまいました。そのウリ文句が「美しい景観」というのですから、開いた口がふさがりません。
しかし、2002年12月、東京地裁(宮岡章裁判長)は、この周辺住民50名の訴えに対して、 「特定地域で独特の街並みが形成された場合、その景観利益は法的保護に値する」として、「高さ20メートルを超える部分の撤去」を命じました。法のスキをついた卑怯な行為は許さないという画期的な判決でした。
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